”本物の技術を身に付けるカリュキュラム 1

フランスの伝統的な刺繍技法であるリュネビル法の技術を”本物”にしていく事。それはどうしたら良いのでしょうか?
それは、パリコレクションのオートクチュールの刺繍を手掛ける職人の方々のように長年のキャリアを重ねながら熟練された刺繍の技術を磨いていく事ではないでしょうか。その過程は、ビーズやスパンコールの同じ花びらのモチーフを無数に刺繍し、ドレスに敷き詰めたり・・・。全面を刺繍で埋め尽くして素材を作ったり・・・。
1着の作品の刺繍に、確かな技術で数十時間あるいは数百時間の時を埋め尽くすような、高度なクリエーションへの挑戦をし続けるところに生まれていきます。私たちも、パリのアトリエでコレクションのショーで発表する新作ドレスに、多くの刺繍をしてきました。

Photo↓モナコ王妃のカクテルドレス
最も時間をかけたのは、モナコ王妃のカクテルドレスの刺繍でした。デコルテからヒップに流れるように10万枚以上の極小スパンコールがランダムにちりばめられています。何人もの手仕事で、デザイン出しから半年以上かけて完成させました。仕事となると、地味な作業の繰り返しを永遠と続けるということもあります。しかし本物の美しさをもとめて一瞬一瞬、魂をこめた一着のドレスの完成の喜びや、その価値ははかりしれないものです。

Photo↓基本課題と、自由練習の生徒作品
わずか1年間のレッスンで、その”本物に技術を近づけるためのカリュキュラム”という事だけに的を絞ったのが、当スクールのスペシャリストコースです。職人の技とは、例えばイタリアのテーラーの職人たちが、最初はボタン付けばかりを何年もかけて極める。というようなシンプルな仕事を完璧にしていく所からはじまります。
当スクールでは、リュネビル法の様々なテクニックの中でも基本となるチェーンステッチのみを5か月以上刺し続けます。リュネビル法の刺繍というと、ビーズやスパンコールで刺された華やかな刺繍をイメージされることが多いでしょう。なので、5か月もステッチだけをするなんて・・・と信じられない方もいらっしゃるかもしれません。しかし、ビーズやスパンコールの刺繍や、その他のテクニックもかぎ針の針裁きによって成されていきます。針で刺すのではなく針を自分の手の一部にしていくような所まで、針さばきを極める。そんな刺繡師としての技術を磨いていきます。しかし5か月でも、イタリアのテーラー職人たちに比べれば、わずかな時であるでしょう。

Photo↓クリムトの絵画の刺繍 刺しはじめ 生徒作品
わずか1年間のレッスンで、その”本物に技術を近づけるためのカリュキュラム”という事だけに的を絞ったのが、当スクールのスペシャリストコースです。職人の技とは、例えばイタリアのテーラーの職人たちが、最初はボタン付けばかりを何年もかけて極める。というようなシンプルな仕事を完璧にしていく所からはじまります。
当スクールでは、リュネビル法の様々なテクニックの中でも基本となるチェーンステッチのみを5か月以上刺し続けます。リュネビル法の刺繍というと、ビーズやスパンコールで刺された華やかな刺繍をイメージされることが多いでしょう。なので、5か月もステッチだけをするなんて・・・と信じられない方もいらっしゃるかもしれません。しかし、ビーズやスパンコールの刺繍や、その他のテクニックもかぎ針の針裁きによって成されていきます。針で刺すのではなく針を自分の手の一部にしていくような所まで、針さばきを極める。そんな刺繡師としての技術を磨いていきます。しかし5か月でも、イタリアのテーラー職人たちに比べれば、わずかな時であるでしょう。

Photo↓クリムトの絵画の刺繍 刺し途中 生徒作品
スクールでは、5か月のステッチの刺繍を、あっという間に感じさせるような、課題を厳選しました。創り手に取っての楽しみは、クリエイティブな創造性の発揮にあります。そのクリエイティビティを刺激するような、2種類の課題を交互に交えた課題制作のカリュキュラムになっています。
ひとつは基礎的な技術を的確に学ぶ基本課題。シンプルな課題に大切な要素を凝縮させた課題によって、基本的な技術を確かなものにしていきます。ふたつ目は、その基本技術を生かして、自らデザインした刺繍をしていきます。ミュシャの絵画のようなアールヌーボーの曲線的で華やかな刺繍デザインをする方もいれば、和のテイストの矢羽根や市松模様。あるいは日本の書を刺繍にデザインとして取り入れる方がいたりと、一つのステッチに人それぞれの個性が輝いていきます。

Photo↓クリムトの絵画の刺繍 完成 生徒作品
単なる技術者ではなく技術とセンスの光るアーティストとしての才能が開花していく。このような5か月間は、もしかしたら最も新鮮な貴重なひとときであるかもしれません。期待と緊張の入れ混じったスタートが、ワクワクする時間に変わる事を、初日に体験する人もいます。本当の喜びとはごくシンプルな中にもあります。シンプルなデザインほど輝いて見えたり、洗練されていくのは、どの分野でも同じかもしれません。シンプルな中に神技ともいうべき美しさが漆出されていきます。ステッチ一つでも、思わず見入ってしまうような作品は生まれます。
今回は、すべてステッチで仕上げていく絵画の刺繍をご紹介します。ミュシャの絵画をリュネビルのかぎ針を使用して刺して仕上げる課題です。カラーのグラデーションやミックス感によって、わずかなニュアンスの違いが生まれ、たった一つのオリジナルの素敵な作品が生まれていきます。ステッチの刺繍を極め、ビーズ刺繍に入るところまでが前期の内容になります。次回は後期の内容について触れさせていただきます。
今週も皆様にとって実りある1週間になりますよう願っています。



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